クロス・ファンクショナル・チームにおける外部環境の認知の相違

帝塚山学院大学 総合心理学部

with 大沼沙樹（千葉商科大学）, 村瀬俊朗（早稲田大学）, 池上重輔（早稲田大学）

グローバリゼーションやICTの発展などに伴い，チームを取り巻く環境は複雑性を増している。これに柔軟に対応するべく，チームの取りうる形態は多様性が高められてきた。特に，近年は複数の異なる部門のメンバーから構成されるチーム，クロス・ファンクショナル・チーム（CFT）が注目を集めている。CFTは，単一の部門メンバーによって構成されるチームと比較して，メンバーがより多くの専門的知識や価値観を有するため，多角的に問題解決を目指すことが期待できる。ところが，本来はチームに力をもたらすことが想定されている知識や価値観の豊富さが，タスク遂行時に齟齬を生み出し，連携を難航させる事例も報告されている。例えば，CFT内で外部環境の認知に相違が存在していると，チーム活動の基本的方針から定まらない事態を招く恐れがある。このようなメンバーの認知の共有あるいは相違に関しては，チーム認知という概念から議論が行われてきた。しかし，従来のチーム認知研究の多くはチーム内部の物事（e.g., タスクの進め方，メンバーの専門的知識）の認知に重点を置いており，外部環境の認知に関しては十分に検討が行われてこなかった。そこで本研究では，CFTにおける外部環境の認知の相違に関する概念の理論化と，その尺度開発を行った。その上で，外部環境の認知の相違がCFTのパフォーマンスに及ぼす影響について検討を行った。